The Virgin of the Rocks
レオナルド・ダ・ヴィンチ, 1491/2-1499年頃および1506-1508年
ナショナル・ギャラリー Room 51

この作品はレオナルド・ダ・ヴィンチによる代表的な宗教画の一つで、本来はミラノの教会の祭壇画の一部として制作されました。描かれているテーマは「無原罪の御宿り」(聖母マリアが原罪を持たずに母アンナから宿ったという教義)で、当時はまだ新しく、議論の的となっていた神学的概念です。
画面中央のマリアは、幼い洗礼者聖ヨハネを抱きながら、もう一方の手を差し伸べてキリストを守護しています。その横には天使が立ち会い、見る者を導くような眼差しを向けています。
背景には岩に囲まれた洞窟と水辺が広がり、幻想的な光と影の効果が画面を満たしています。この自然描写は単なる背景ではなく、天地創造や時間の始まりを象徴しており、作品全体に神秘的な雰囲気を与えています。
ダ・ヴィンチの卓越した観察眼と光学的な探求が融合したこの絵は、宗教的荘厳さと自然の神秘が一体となった傑作といえます。