The Execution of Maximilian
エドゥアール・マネ, 1867-68年頃
ナショナル・ギャラリー Room 41

1864年、ナポレオン3世(1808-1873)はオーストリア大公フェルディナント・マクシミリアン(1832-1867)を傀儡の皇帝としてメキシコに擁立しました。しかし現地の共和派によって拒絶され、1867年に二人の将軍とともに処刑されます。
マネはこの事件をフランスの政治的失態として捉え、痛烈な批判を込めて描きました。本作は銃殺隊が発砲する瞬間を捉えており、マクシミリアンの姿はほとんど隠され、左手が隣の将軍の手を握る姿のみが見えます。この構図は、冷徹で無慈悲な権力の暴力を強調し、観る者に強い衝撃を与えます。
マネはこの主題に4度取り組んでおり、本作は第2バージョンにあたります。未完のまま放棄され、マネの死後に断片化されましたが、友人の画家ドガによって再構成されました。そのため、本作はマネの創作過程と同時に、後世の画家による「修復の物語」も内包しています。
本作は、印象派以前のマネが手掛けたもっとも政治的かつ批判的な作品群のひとつであり、芸術が歴史と政治を鋭く告発する力をもつことを示す証左といえるでしょう。