ロンドLogoJUST RONDON - ロンドン観光・旅行・現地ガイド
    ロンドLogoLive.Love.London. - 最強ロンドンガイド
    • 旅行プランを作る
    • 今週のロンドン
    お問い合わせサイト概要利用規約プライバシーポリシーTop Pageへ

    ジャスト・ロンドンは、ロンドンの深層に迫る力量も器量もない中途半端な存在ですが、旅の判断をほんの少し整える一文が紛れていれば、それだけで存在理由になります。

    1. Home
    2. /観光
    3. /美術館ナビ
    4. /ナショナル・ギャラリー
    5. /コレクション
    6. /サン=ラザール駅

    The Gare St-Lazare

    サン=ラザール駅

    Must See

    クロード・モネ, 1877年

    ナショナル・ギャラリー Room 41

    サン=ラザール駅

    作品の概要

    印象派が「駅」を描いたことが、そもそも事件でした。 1877年当時、絵の主題は神話・歴史・肖像・田園風景と決まっていて、煤けた鉄道駅は絵にする対象ではありませんでした。モネはそこへ画架を持ち込みます。

    伝説によれば、モネは仕立てのいい服を着て駅長室を訪ね、自分は高名な画家だと名乗り、機関車を止め、石炭を余分に焚かせて蒸気を大量に上げさせたといいます。真偽は定かでありませんが、実際に彼は駅で描く許可を得ていました。

    この絵で本当に描かれているのは、機関車ではなく蒸気です。 中央の機関車は、実のところ輪郭がほとんど溶けています。青灰色、藤色、白、わずかな桃色の絵具が渦を巻き、その隙間からガラス屋根越しの光が差し込んでいる。モネが捉えたかったのは、鉄の塊ではなく、その塊が空気に起こした変化のほうです。

    上を見てください。 巨大なガラスと鉄の三角屋根。19世紀の建築技術が生んだ、この時代最新の構造物です。光はここを通って拡散し、蒸気の中で散乱する。産業が作った新しい光を、モネは自然光と同じ真剣さで観察しました。

    下を見てください。 ホームには黒い小さな影が点々と置かれています。降りてくる乗客です。顔も服装も描かれず、ただの記号として散らされている。人間はここでは主役ではなく、光の中の粒子です。

    モネはこの駅を12点連作として描きました。同じ場所を何度も描き、時間や条件で変わる見え方だけを追う——後年の《積みわら》や《ルーアン大聖堂》、そして《睡蓮》へ続く、モネの生涯の方法がここで始まっています。本作はその中でも特に筆が速く、自由です。

    ここがポイント

      • 神話や田園が主題だった時代に、煤けた鉄道駅を絵にした事件的な一枚
      • 主役は機関車ではなく蒸気。青灰・藤色・白の渦の隙間からガラス屋根の光が差す
      • ガラスと鉄の三角屋根は当時最新の建築。「産業が作った光」を自然光と同じ真剣さで観察している
      • ホームの乗客は顔も服も描かれず、光の中の粒子として点在するだけ
      • 同じ場所を12点描いた連作。後の《睡蓮》へ続くモネの生涯の方法がここで始まった