Motherhood (La Maternité)
パブロ・ピカソ, 1901年
ナショナル・ギャラリー Room 45

《母性》(1901年)は、ピカソの青の時代の感情豊かな作品です。この時期、ピカソは友人の自殺に影響を受け、哀愁漂う主題を青緑系の色彩で描きました。画面中央の母は長い腕で幼子を抱きしめ、まだ胎内にいるかのような無防備さと温もりを与えています。母の疲労感は子の静謐さによってバランスが取られ、背景にはうねる畑や耕作される土地、鮮やかな青い水面が広がります。上部の空は速筆で描かれ、未完成のまま残されています。
母と子の姿はルネサンス期の聖母子像を想起させ、特に母の細長い手にはピカソがトレドで観たエル・グレコの影響が見られます。モデルは、友人カルレス・カサゲマスの愛人であったジェルマン(ローラ)・フロレンティンとされています。カサゲマスは関係の破局後、1901年2月に自殺しました。この作品は長く1903年作とされていましたが、1950年代後半のニューヨークでの公開オークションの際、ピカソ自身が1901年作であることを確認しています。