Sculptures from the Parthenon's East Pediment
作者不明, 紀元前438–432年頃
大英博物館 Room 18
この大理石彫刻群は、アテネのアクロポリスに建てられた パルテノン神殿 の東破風を飾っていたものです。紀元前438〜432年頃に制作され、アテナ・パルテノス(処女神アテナ)に捧げられた神殿の正面を荘厳に飾っていました。「パルテノン」 という名称自体が「処女」を意味するギリシア語『パルテノス』に由来します。
神殿全体の彫刻装飾は彫刻家 フィディアス が総監督を務め、その工房の手によって完成しました。破風(ペディメント)は神話の壮大な場面を、メトープ(方形の浮彫パネル)は英雄譚を、そしてフリーズ(帯状の浮彫)はアテネ市民による宗教行列を描き、アテナ女神の誕生日を祝う祭礼の様子を表現していました。神殿内部には黄金と象牙で作られた巨大なアテナ像も設置されていましたが、現存していません。
これらの破風彫刻は、古典期ギリシア美術の精華であり、建築と神話と市民宗教が融合した芸術の象徴です。2,500年以上を経てもなお、アテネ人の信仰心と都市の誇りを伝える 世界的文化遺産 として評価されています。