Memorial Pole (pts'aan) for Chief Luuya'as
作者不明, 1850年頃
大英博物館 Great Court
この追悼トーテムポール(pts'aan)は、カナダ・ブリティッシュコロンビア州のニスガ族、イーグル・ビーバー・クランの酋長ルーヤアスを記念して、約1870年にレッドシダーを用いて制作されました。
トーテムポールは、氏族のリーダーを追悼するための象徴的な記念物であり、ヨーロッパの紋章と同様に氏族の歴史、権威、家系を示す役割を持っています。底部には神話上の海の生き物『Man-Underneath』が鯨を捕まえる姿が描かれ、これは海の力や自然との関わりを象徴しています。
その上には母ビーバーと子ビーバーが配置され、家族や繁栄の象徴とされています。さらに上部にはワシ、もしくは伝説上のサンダーバードが刻まれ、空の力や守護の象徴として重要です。頂上の尖った嘴の鳥は、氏族の伝説や神話に登場する特別な存在を表しています。
各彫刻は、氏族の伝説や歴史的な出来事を物語るもので、単なる装飾ではなく、物語を伝える役割を果たしています。制作には高度な彫刻技術が必要で、木材の選定、彫刻の計画、彩色などすべてに精密な技法が用いられました。
トーテムポールを立てる際は、数十人から数百人規模のコミュニティが協力し、足場やロープを使って柱を立て、地面で固定するという儀式的かつ協働的な行為が伴います。
この作品は、北米先住民の象徴芸術、社会構造、神話や伝承の重要性を理解する上で非常に価値が高く、氏族文化の深さを体感できる 傑作 です。