Gebelein Man
不明, 中期先王朝、紀元前3500年頃
大英博物館 Room 64

ゲベレインで発見されたこの男性は、紀元前3500年頃の中期先王朝に生きていました。熱い砂の下で自然にミイラ化し、髪や体の細部までよく保存されています。
自然ミイラは、人工的に塩や防腐処理を行わなくても、環境条件によって体が自然に保存される現象です。例えばゲベレインの男性の場合、乾燥した砂漠の砂、高温で日光の当たる環境、湿気の少ない浅い墓穴といった条件が重なったことで、腐敗が抑えられ、皮膚や髪の毛まで保存されました。エジプト式人工ミイラではナトロン(天然の塩)を用いて体液を抜き、防腐処理を行いますが、自然ミイラではこのような処理は不要で、環境そのものが保存効果を生む点が特徴です。
CTスキャンで骨格や体の状態が詳細に確認可能で、若くて非常に健康的な体格であったことが分かります。さらに、左肩の刺し傷によって亡くなったことが判明しており、この時代の暴力の痕跡として非常に珍しい例です。