Human-Headed Winged Bull and Lion
作者不詳, 紀元前865〜860年頃
大英博物館 Room 12a
この作品は、紀元前9世紀のアッシリア美術を代表する人頭有翼獣の一組で、雄牛とライオンがそれぞれ王の私室や宴会場の入口を守る護衛霊として設置されました。
人頭と翼を持つことで、単なる獣ではなく理性と霊的守護を備えた超自然的存在として表現されています。雄牛は地上の力と勇敢さを象徴し、ライオンは王権や攻撃力を示すため、異なる力を組み合わせることで入口を全方位的に守る意図があります。
このペアの彫刻は、王宮の権威と安全を象徴する典型的な例 であり、ニューヨークのメトロポリタン美術館にも対応するペアが収蔵されていることから、当時のアッシリア王宮での護衛像は必ずペアで設置される慣習があったこともわかります。
精緻な彫刻技法と神秘的な造形は、当時の宗教的・政治的意味を今に伝える重要な文化財です。