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    The Cyrus Cylinder

    キュロスの円筒

    Must See

    作者不詳(王権文書), 紀元前539年頃

    大英博物館 Room 52

    キュロスの円筒

    作品の概要

    この粘土円筒は、紀元前539年のバビロン占領に関するバビロニア語の記録を残す文書で、遺構の城壁や建物の基礎に埋められることを意図して作られた典型的な王室碑文です。

    碑文は断片的であり未完の箇所もありますが、内容はナボニドゥス王(前王)がバビロニア諸神の崇拝を歪め、民に重い労働を課したとする告発から始まります。神々がバビロンを見捨てた結果、神マルドゥクは代わりの王を求め、ペルシア(アンシャン)の王キュロスを指名したと記されています。その後の記述はほぼ一人称に変わり、「我、世界の王キュロス…」という語り口で自らの宗教的行為や施政を説明します。

    碑文は、キュロスがバビロンに入城した際に暴力による強奪ではなく平和裡に支配を確立したこと、諸国の神像や追放された民を元の神殿や地に返還したこと、寺院への供物の増加や城壁(イムグル・エンリル)の修復を行ったことなどを伝えます。形式的には遺構埋納用の円筒であり、王の行為を神意との一致として正当化し、後世に王権の正統性を示す役割を果たすものでした。

    考古学史的・史料学的には、碑文は古代の王のプロパガンダ、宗教政策、占領後の宗教復興・行政処理について直接的な情報を与える貴重な一次史料です。

    ここがポイント!

      • バビロン攻略(紀元前539年)と寺院復興を伝える楔形文字の粘土円筒碑文
      • 遺構の基礎に埋納される『基礎碑文』形式で作られた王室文書の典型例
      • 文中でマルドゥク神がキュロスを選び、ナボニドゥスの宗教政策を批判して王権を正当化する構成
      • キュロス自身が語りかける一人称に転じ、神殿の復興・聖像の返還・労働負担の撤廃などを主張する点が特色