新カンタベリー大主教を待つ「時限爆弾」 2026年に噴出する教会の難題
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    新カンタベリー大主教を待つ「時限爆弾」 2026年に噴出する教会の難題

    2025年12月25日

    2026年に就任する新カンタベリー大主教サラ・マラリー氏は、同性カップル祝福を巡る深刻な分裂、世界的聖公会での指導力低下、性的虐待問題への信頼回復という複数の重大課題に直面している。

    2026年1月28日に就任予定のカンタベリー大主教サラ・マラリー氏は、表面上は安定を取り戻しつつある英国国教会の裏で、解決されていない深刻な課題を抱えて職務を引き継ぐことになる。

    最大の争点の一つは、同性カップルへの祝福を巡る教会内の分裂だ。2023年に総会(ジェネラル・シノッド)は祝福の祈りを承認したが、2025年10月、司教団は単独祝福式の試行開始に「3分の2以上の賛成」を求める方針へ転換した。これにより、改革派と保守派の対立は一層先鋭化している。

    一部の教区では司教方針に反し、すでに単独祝福を実施する聖職者もおり、今後は教会内結婚制度そのものを求める運動が強まる可能性も指摘されている。2026年には総会選挙も予定されており、この問題が最大争点となる見通しだ。

    国際的にも課題は大きい。マラリー氏は初の女性カンタベリー大主教となるが、アフリカなど保守的な教会を中心に強い反発があり、保守派連合「GAFCON」は彼女の指導力を認めない姿勢を示している。これにより、世界聖公会(約8,500万人)の統一的指導は事実上困難との見方も出ている。

    さらに、前任のジャスティン・ウェルビー氏が辞任に追い込まれた性的虐待対応の失敗を受け、教会の信頼回復も急務だ。独立機関への完全移管は否決され、現在は部分的な独立監督体制にとどまっているが、監督当局からは改革の遅れが指摘されている。

    専門家からは、虐待防止体制は改善している一方、被害者・生存者へのケアは依然として不十分との厳しい評価も出ている。

    こうした複数の課題が同時進行する中で、マラリー氏の就任は、英国国教会にとって統合か分裂かの岐路となる可能性が高い。