UK、デジタルID制度を導入-就労者は必須、その他は任意
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    UK、デジタルID制度を導入-就労者は必須、その他は任意

    2025年9月27日

    UK政府はデジタルID制度を導入予定。就労者には必須で、国境管理や不法就労対策が目的。スマートフォンを持たない人への代替策も検討されている。

    【制度導入の概要】 政府はUK全土でデジタルIDシステムを導入する計画を発表した。首相キア・スターマーは、この制度により国の『国境がより安全になる』と説明した。IDは日常携帯義務はなく、就労希望者に必須となる。デジタルIDはアプリ形式でスマートフォンに保存され、NHSアプリや銀行アプリのように管理される。IDには居住資格、氏名、生年月日、国籍、写真が含まれる。

    【なぜ必要なのか】 政府は、この制度の目的を不法移民対策とし、就労希望者が不法に職を得るのを難しくすることを挙げている。従来、雇用者はNational Insurance番号や紙の書類で権利確認を行っていたが、他人の番号を使用するなどの不正が容易であったため、写真付きのデジタルIDで不正を防ぐ狙いもある。

    Conservative党リーダーKemi Badenoch氏は、デジタルIDには賛否両論あるものの、強制化には十分な国民的議論が必要と指摘。Liberal Democratsの影の法務大臣Ben Maguire氏も、この政策が不法移民に与える実質的効果は限定的だと述べた。

    【強制化は?他の用途は?】 デジタルIDは全てのUK市民と合法居住者が利用可能で、就労者には必須。しかし、学生や年金受給者など就労を希望しない人は任意で取得できる。IDは従来の身分証明カードのように公共の場で携帯する必要はなく、医療や福祉サービスの利用にも必須ではない。将来的には、運転免許、保育、福祉、税務などの申請簡素化や不正防止にも役立つとされる。

    【スマートフォンを持たない人への対応】 政府はシステムを『包摂的』に設計し、スマートフォンやパスポートを持たない人、安定したインターネットアクセスがない人でも利用可能にする方針。公開相談が今年後半に行われ、物理書類や対面サポートなどの代替案も検討される。

    【海外事例】 エストニア、オーストラリア、デンマーク、インドなどの事例を参考にする予定。エストニアは2002年から必須のデジタルIDを導入し、医療記録、投票、銀行、デジタル署名などに使用。オーストラリアとデンマークはアプリ形式のIDを提供し、政府や民間サービスへのログインに利用可能だが必須ではない。インドは12桁の識別番号を住居・身元証明として使用。その他、シンガポール、ギリシャ、フランス、ボスニア・ヘルツェゴビナ、UAE、中国、コスタリカ、韓国、アフガニスタンなどでもデジタルIDが使用されている。

    【UKでの過去の試み】 2000年代初頭、トニー・ブレア政権下で任意IDカードが法制化されたが、2011年にコストや監視の懸念から廃止。強制IDカードは戦時中のみで、第二次世界大戦後も存在したが、1952年に廃止された。

    【反対意見】 市民団体は、限定的なデジタルIDでも監視システム拡張の可能性があるとして警告。Big Brother Watchなど8団体は首相に撤回を求め、無許可移民がより影に追いやられると指摘。100万人以上が反対署名を提出しており、10万人以上の署名は議会で議論される。元保守党閣僚デイビッド・デイビスも、どのシステムも失敗の可能性があるとし、政府や企業はデータ保護に繰り返し失敗してきたと警告している。