中国、ロンドンに『スーパ―大使館』計画―諜報懸念と抗議広がる
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    中国、ロンドンに『スーパ―大使館』計画―諜報懸念と抗議広がる

    2025年9月25日

    中国がロンドン・ロイヤル・ミント・コートに大規模な新大使館の建設を申請し、英国政府が最終判断を下す予定です。場所の戦略性や規模の大きさから諜報や安全保障上の懸念が広がっており、地元住民や在英香港人コミュニティから反発が出ています。

    ロイヤル・ミント・コートは歴史的に黒死病の墓地や修道院、王立造幣局としての役割を果たしてきました。現在、中国政府はこの一等地に新たな大使館棟と文化交流施設を建設する計画を提出しています。敷地面積は約610,000平方フィートで、現在の中国大使館の約10倍に相当し、2018年に開館した米国大使館(518,050平方フィート)よりも大きい規模です。計画には225戸の住居、ビザ発給センター、『遺産解釈パビリオン』も含まれています。

    英国では通常、建設許可は地元自治体が環境や交通への影響を踏まえて決定します。しかし、今回の大使館計画は規模の大きさ、ロンドン塔やシティ・オブ・ロンドンに近接する戦略的立地、中国による監視行為への懸念などが重なり、国政レベルでの判断に持ち上がっています。さらに、住民やビジネスオーナーからなるロイヤル・ミント・コート・レジデンツ協会も、100戸の賃貸マンションやデイケア、ヘアサロンを抱える立場として、『ダビデとゴリアテ』の戦いのように感じていると述べています。

    反対派は、建物が金融・通信インフラの近くに位置するため、中国政府が地下ケーブルを通じてハッキングを行う可能性を懸念しています。中国は過去に少なくとも200の米国機関や80か国を対象にしたサイバー攻撃に関与したとされます。また、海外の反体制派への報奨金事件や、マンチェスターの中国領事館で抗議者が拘束・暴行を受けた事件なども指摘され、外交特権を利用した追跡・拘束のリスクが議論されています。

    中国側は、この大使館計画が国際的な外交慣例に沿っており、『安全上の懸念は根拠のない中傷』だと反論。プランナーは米国大使館の申請でも内部レイアウトを公開していなかったと指摘しています。しかし、Luke de Pulford氏(国際的な中国監視団体IPAOC代表)は、中国は敵対的国家であり、大規模な区画での計画内容を開示していない点が問題だと強調しています。

    在英香港人のSimon Cheng氏は、中国大使館の規模拡大は、英国国内で反体制派を追跡・拘束する可能性を高めると懸念。自身も2019年に香港で15日間拘束され、国家安全法に基づく報奨金対象となった経験を持ち、英国で亡命を受けています。

    一方、支持者は歴史的建物の修復や大使館機能の向上、安全性の改善を理由に計画承認を擁護。ロンドンSOASのSteve Tsang氏は、建物自体が諜報行為を行うわけではなく、スタッフの行動が問題であると指摘。また、スタッフが同一エリアに集中することで、MI5による監視が容易になる可能性もあると述べています。

    この計画は、中国と英国の外交関係、在英香港人コミュニティの安全、都市インフラの保護という複雑な問題が交錯する案件として注目されています。英国政府は、最終的な許可を出すか否かを数週間以内に判断する見込みです。