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    Britain, Argued2026年8月25日

    1日の講習で、一生ロンドンを走れる——L字プレートの配達員をめぐる議論

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    ロンドン議会が、仮免許での商業運転の禁止を政府に求めました。1日で取れる講習証明を2年ごとに更新し続ければ、本免許を取らないまま一生配達を続けられるからです。ただ、この話には数字の上で妙なねじれがあります。デリバリーが街を埋め尽くしたこの10年、ロンドンでバイクに乗る人の死亡リスクは3分の1に下がっているのです。

    1日の講習で、一生ロンドンを走れる——L字プレートの配達員をめぐる議論
    News

    L字プレートの配達員を禁止せよ、という声

    2026年8月25日 BBC News

    BBCが2026年8月25日に報じた Calls to ban London delivery drivers with L plates によれば、ロンドン議会が7月2日、仮免許での商業運転を禁止するよう政府に求める動議を可決しました。賛成17、反対2。提出したのは保守党のトーマス・タレル議員です。

    背景にあるのは、CBT(強制基礎訓練)という制度です。原付や125ccまでのバイクは、1日の講習を受けて証明書をもらえば、L字プレート(仮免許者を示す表示)を付けたまま公道を走れます。有効期間は2年。ここが肝心なところで、期限が切れたらまた1日講習を受け直せばよく、本免許の試験を受ける義務は永久に生じません。証明書を取ったその日から、フードデリバリーの仕事に就けます。

    タレル議員はCBTを「無期限の使用のために作られたものではない」「道路の脅威」と評しました。サディク・カーン市長も2022年の時点で、現行のCBTは「目的にかなっていない」「とくに仕事で運転する人にとって適切な資格水準ではない」と述べています。ただし市長は、配達員に本免許を義務づける権限はロンドンにはなく国の管轄だ、とも付け加えました。

    実際、動きは国レベルで進んでいます。運転者・車両基準庁(DVSA)は2026年1月7日から5月11日まで、CBTの有効期間の見直しや再受講までの待機期間の導入を含む諮問を実施しました。2026年8月時点で、運輸省は「回答を分析中」としています。

    Argument

    死亡リスクは3分の1に下がった。それでも街の体感は悪化している

    まず、この制度が実際どう使われているかの数字から。DVSAによれば、2023年3月から2025年3月までの2年間で、本免許に進まずCBTを更新した人は約7万7000人。発行された証明書の 23% にあたります。4人に1人近くが「永遠の初心者」です。制度の抜け穴というより、もはや正規の使い道と言ったほうが正確でしょう。

    ここからは私見になります。

    この議論には、誰もあまり触れたがらない数字があります。TfLの統計によると、ロンドンでバイクに乗る人が死亡するリスクは、2010〜14年の基準期間から67%減りました。100万回の走行あたり0.40人から0.13人へ。3分の1です。そしてこの期間は、フードデリバリーがロンドンの街を覆い尽くしていった期間と、きれいに重なります。

    「L字プレートの配達員が道路を危険にしている」という主張と、この数字は素直には噛み合いません。もし無資格同然のライダーが大量に流入して道路を危険にしたのなら、リスク指標はもっと嫌な形に曲がっていたはずです。

    では動議は的外れかというと、そう単純でもないところが厄介です。リスクが下がったのは「1回の走行あたり」。走行の総数そのものが激増していれば、街の体感は悪化します。実際、負傷者数で見るとバイクは交通量の約4%しか占めないのに、負傷者の 21% を占めている。2010〜14年から唯一減らなかったのがバイクの負傷者数でした。全体が42%減った自動車乗員とは対照的です。

    つまり、こういうことです。1人あたりは確実に安全になり、街全体としては危険が増えた。両方が同時に本当なのが、この問題の意地の悪いところです。

    そしてもう一つ、動議が触れていない部分があります。議会が求めているのはライダーの資格強化ですが、CBTの反復更新で本当に得をしているのは誰でしょうか。本免許の取得には時間と金がかかります。もし配達員に本免許が必須になれば、参入の敷居が上がり、ライダーの供給は細り、単価は上がる。プラットフォームにとって、いつでも辞められて明日また補充できる労働力こそが事業の前提です。1日で始められることは、彼らにとって不具合ではなく仕様です。

    タレル議員自身、改革の最大の障壁はJust Eat、Deliveroo、Uberといった大手からの「反発」だろうと述べています。示唆的なのは、そのJust Eatが「原付ライダーへの本免許義務化を積極的に支持する」と表明したこと。DeliverooとUber Eatsは、BBCの取材にコメントしていません。業界最大手が規制強化に賛成するとき、たいていそれは自社が既に払えるコストで、競合が払えないコストです。

    ロンドンは長らく、道路の危険を「危ない運転をする個人」の問題として扱ってきました。しかしTfLの推計では、2022〜24年の平均で、死亡・重傷者のおよそ45%——年間1700人ほど——が仕事で運転・走行していた人の関わる衝突で生じています。うち約1450人は、運転していた本人ではなく巻き込まれた側でした。問題の中心にいるのは、無謀な若者ではなく「働いている人」です。

    1日の講習で足りるか、という問いは正しい。ただ、その先にもう一問あります。時間あたりの配達件数で報酬が決まる仕組みのまま資格だけ厳しくして、歩道に乗り上げるバイクは減るのでしょうか。急ぐ理由を作っているのは、免許の種類ではないはずです。

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