ドレーク島が管財人の手で再売却、600万ポンドの島に200万ポンドの希望価格
プリマス沖のドレーク島が、管財人の手で再び売りに出ました。2019年に600万ポンドで買われ、43室のホテルになるはずだった島の希望価格は、いま200万ポンド超。英国に無数にある「歴史的物件の再生」がなぜ繰り返し失敗するのか、という話です。

サー・フランシス・ドレークが出航した歴史的な島が、再び売りに出る
2026年8月時点の状況
Historic island where Sir Francis Drake set sail for sale again が報じたところによると、プリマス湾に浮かぶ約6エーカーのドレーク島が、また市場に出ました。
経緯を数字だけ並べると、それだけで話が見えてきます。
- 2019年 — 不動産開発業者モーガン・フィリップスが 600万ポンド で取得
- 43室のホテル への転換で計画許可を取得。許可自体はいまも有効(ただし各種条件とセクション106の義務付き)
- 2024年7月 — 一度市場に出したが売れず
- 2024年12月 — 保有会社プリマス・サウンド・プロパティーズが管財人管理下に。翌月いったん脱出し、2025年1月に2件のローンを完済
- 2026年 — 再び管財人管理下へ。ロンドンのカーカー社が、貸手側の担保権にもとづき選任
- 2026年8月時点 — カーター・ジョナスが 200万ポンド超 での売却を募集中
つまり、600万ポンドで買われた島が、7年後にその3分の1の価格で募集されている。しかもホテルの計画許可という、本来なら価値を押し上げるはずのものが付いた状態で、です。島には要塞跡と火薬庫と地下トンネルがあり、約3万平方フィートの使われていない建物が残っています。
「歴史がある」は、資産価値ではなく維持費のことだった
ここからは私見です
「開発業者の見通しが甘かった」で終わらせると、英国中で同じことが起き続けている理由が見えません。
根本にあるのは費用と収入の非対称です。指定を受けた建物は壊せず、窓も屋根の素材も替えられない。島となれば資材も職人も工事車両も船で運ぶことになり、陸なら1のコストが、海を挟むだけで3にも5にもなる。一方で43室のホテルは、どこに建っていても43室です。コストだけが立地で膨らみ、売上は膨らまない。
ここに計画許可制度が乗ります。セクション106は開発業者が地域に対して負う義務を定めるもので、これが付くと「許可は下りたが、実行すると採算が合わない」がしばしば起きます。計画許可は資産価値を上げる、というのは半分嘘で、実行不可能な許可は紙です。
この島は要塞、監獄、青少年の冒険センターと用途を変え、そのあと30年近く放置されました。用途が尽きると引き取り手がいなくなる、その繰り返しの最新版です。
次に決まるのは、200万ポンドで買い手が付くかどうかだけです。2024年7月の募集は成立しませんでした。今回も付かなければ、価格がさらに下がるか、また数年寝かせることになります。この価格は、島の価値から将来の修復費を引いた残りです。観光地として整備されれば魅力的な場所になるのは間違いありませんが、それを言い続けて30年経った事実のほうを、次に買う人は重く見たほうがいい。
英国のいまを、もう一本。
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